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ヒョウモンモドキ絶滅寸前、若い力募集中

(朝日新聞 2011/07/13)
http://mytown.asahi.com/hiroshima/news.php?k_id=35000001107130003

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ヒョウモンモドキ絶滅寸前、若い力募集中_a0204701_1255307.jpgヒョウモンモドキの写真を手に保護活動への参加を呼びかける新谷隆之さん=世羅町

 国内の生息地が三原市と世羅町だけになったとされるチョウ「ヒョウモンモドキ」を保護する「ヒョウモンモドキ保護の会」が先月、設立10年を迎えた。絶滅は免れているが個体数の減少は続いているといい、生息地を守るために必要な草刈りなどを手伝ってくれる若い人を募っている。

 会は2001年6月、チョウの研究者や愛好者、地元住民ら約10人で設立された。会員として約80人が登録しているが、実際に現地での活動に参加できるのは20人ほど。高齢化が目立ちはじめ、力仕事が難しくなってきたという。

 ヒョウモンモドキは今年4月、国内希少野生動植物種に指定された。捕獲や殺傷、譲り渡し(標本も含む)が原則禁止となり、違反すると、最高で1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる。

 会によると、生息地で「保護しているので採らないで」と注意しても、これまでは「お前の持ち物か」とすごむマニアがいたという。会長の新谷隆之(しん・たに・たか・し)さん(75)は注意する法的根拠ができたことを喜びつつも、「指定は、状況が深刻だということ。活動を10年続けてきた身としては残念な思いもある」と話す。

 生息地は湿地や休耕田。幼虫のえさとなるアザミ類と、サナギになるためのやぶがあることが大事だ。周囲20~30メートル以内に、蜜を吸える花もなくてはならない。

 卵は、特有のアザミの葉に産み付ける。葉に止まれるためには、雑草が生い茂っていると駄目。天然の湿原なら水温が低く、土の中の栄養分も乏しいため、ヒョウモンモドキが必要とする湿地特有の植物のみが育つが、休耕田などの湿地は栄養が豊富なため、草刈りが必要だという。

 会では毎年8月終わりごろ、ヒョウモンモドキが巣ごもりをした葉を一つひとつ確認。目印の棒を立て、半径1メートル以内には入らず、周辺の雑草を刈り払う。放置すると肥料になるため、刈った草は全部持ち帰る。作業には20日ほどかかるという。

 会では、数匹から近親交配を続けて子孫を増やす人工飼育を試みたこともあるが、3年目には模様などに異常が見られ、4年目には全滅した。近くに交配できる別グループがないと絶滅することを意味しており、小規模な生息地がほどよい近さで点在することが増える条件とわかったという。

 ただ、「毎年、雑草の勢いが強くなっており、既存の生息地だけでも草に押し切られそうな状態」と新谷さん。数を増やすために生息地周辺の環境を整えるには、ボランティアの手が足りないという。会員を増やしたいと毎年観察会を開いているが、なかなか会員は増えない。

 会の事務局長、須内(すのうち)美穂子さん(61)は「人が近づいても逃げずにアザミの花で休んでいたり、ゆったりと飛んだりする姿が可愛い。羽を立てたときに見える羽の裏も白地に模様があって美しい」と魅力を語る。

 年会費は県内在住の人は1千円、県外の人は2千円。問い合わせは新谷さん(0847・24・1358)。(後藤泰良)

◆ヒョウモンモドキ◆ 環境省野生生物課によると、タテハチョウ科で、大きさは2~3・5センチほど。黒い斑点の入った模様が特徴。主に山の中の湿地に生息する。本州の福島県以西に生息地が点在していたが、生息環境の破壊や乱獲により、現在は広島県の一部でしか見られなくなった。保護の会によると、かつては14県で生息が確認されていたが、近年は三原市と世羅町だけになったという。


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設立10周年、おめでとうございます(by parnassus7)
by parnassus7 | 2011-07-13 12:57 | タテハチョウ亜科
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